肉用子牛補給金 黒毛和種で21年ぶり発動 1頭当たり計4万~8万円
同制度が黒毛和種で発動するのは、前年に国内で発生した牛海綿状脳症(BSE)の影響で子牛価格が暴落した2002年以来となる。
同制度は、全国の四半期ごとの平均売買価格が保証基準価格(黒毛和種は55万6000円)を下回った場合に、その差額を国が補填する仕組み。今回、7~9月分で売買価格が52万1600円となったため、全国一律で1頭3万4400円を交付する。
臨時対策として措置する和子牛生産者臨時経営支援事業の発動も同日発表された。
北海道、東北、本州関東以西・四国、九州・沖縄の全ブロックの各平均価格が発動基準の60万円を下回ったため、それぞれの差額のうち、補給金が交付される部分を除いた4分の3を補填。対策の拡充分で、ブロック別平均価格が全国平均売買価格を下回った九州・沖縄ブロックでは、さらにその差額の4分の3を上乗せした額が交付される。
いずれも、補給金制度に加入する子牛が対象となる。農水省は「子牛価格の下落は深刻な状況。補給金と臨時対策を活用し、何とか再生産につなげてほしい」(食肉鶏卵課)としている。
臨時対策は褐毛和種でも発動があり、1頭当たり5000円が交付される。
子牛の取引価格を巡っては、生産コストの高止まりと、枝肉の販売価格の低迷によって肥育農家の経営が悪化。子牛の導入費用を抑えざるを得ない状況が続き、全国的に再生産が難しい水準に落ち込んでいる。10月の取引でも価格の下落に歯止めがかからず、産地からは生産基盤の維持を懸念する声が上がっている。
訂正 イメージ図のタイトルで「7~9月に販売・自家保留された和牛子牛への補填のイメージ」とあったのは、「7~9月に販売された黒毛和種への補填のイメージ」でした。臨時対策では自家保留した子牛は対象になりません。