
除草剤「ラウンドアップマックスロード」を製造する日産化学の担当者は、こう断言する。BMがどの薬剤を使ったかは不明だが、土壌からはグリホサートなどの成分が検出された。そこでグリホサート系の代表的な除草剤を販売する日産化学に取材を申し込んだ。
グリホサート系の除草剤は、かんきつなど幅広い果樹類の園地に生える雑草の茎や葉に直接散布して使える。同社によると、薬剤が土壌に落ちた場合は、すぐに土の粒子と結び付くため、植物には効果を及ぼさなくなる。誤って木に薬剤がかかっても、その部分の葉が落ちる程度の反応しか起きないという。
このため、本来は樹木に影響なく散布できる。同社にもBMの問題を受けて問い合わせが相次ぎ、「枯らしたくない大きな樹木周辺でも安心して使える」とする文書をホームページに掲載した。
ただ、これらは、使用基準に従って適正に使った場合の話だ。

同社は、①定められた希釈倍率より高濃度で散布した②定められた回数以上に散布し、土壌に成分が蓄積した──可能性があるとみる。想定外の使い方で、木にどんな影響があるかは同社でも分からないという。
農水省によると、街路樹や花壇の花などに農薬を使う場合も、人が栽培・管理しているため、農薬取締法の対象になる。使用基準に反した散布は、同法違反の可能性がある。
除草剤には、高濃度で木に注入して枯らす使用方法もある。他のBM店舗前の街路樹があった場所の調査では、土壌からは除草剤の成分が出ず、枯れた街路樹の切り株や根から除草剤を検出した例もあった。日産化学は「BMがこうした手段をとった可能性もある」とみる。
農薬は、人への毒性や作物への残留、環境への影響などを試験した上で、安全性に問題がないと国が判断したものだけが登録・販売されている。
同社は、薬剤が土の粒子と結び付き、植物に効果を及ぼさなくなった状態を「除草剤の効果がなくなった」としている。この時点で人にかかったり、地下水に移行したりする恐れもなくなるが、成分自体が消えたわけではないため、検査をすれば検出される。
土の粒子と結び付いた成分は、微生物の働きで二酸化炭素や水などに分解される。「ラウンドアップマックスロード」の場合、散布から3~21日で成分量が半減し、最終的に消失するという。その間、使用基準に従って適正な量・回数を散布した場合でも微量の成分が検出されるが、「安全性に問題はない」と同社は説明する。
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