加工食品の温室ガス「可視化」 農水省、排出量算定へ基準
商品の製造や流通、販売などの過程で発生する二酸化炭素(CO₂)やメタンなどの温室効果ガスの総排出量は、カーボンフットプリント(CFP)と呼ばれる。同省は、加工食品でのCFP算出を促すため、算定基準の作成を進めている。
同省によると現状、清涼飲料やハムなど一部の加工食品でCFPの算定ルールはあるが、全ての加工食品で共通の基準はない。「加工食品のCFPは進んでいない」(みどりの食料システム戦略グループ)状況だ。
1~3月の実証では、イオンが食用菜種油で、明治ホールディングスとセブン&アイ・ホールディングス、イトーヨーカ堂が牛乳で、加工や輸送などで発生する温室効果ガス排出量の算定に取り組む。
3月までの実証を踏まえ、算定する加工食品を増やすなどの方針を決める。算定したCFPを消費者にどう伝えるかなど、表示方法の検討も進める。
同省は、食品メーカーや小売りなどと、基準の作成に向けた議論を重ねてきた。この議論の中間報告では、2024年度をめどに「共通算定ルールを策定」するとしている。
同省は、温室効果ガス排出量のラベル表示を、米やトマトなどの農産物で進めている。排出量を可視化することで、輸送距離が短く済む国産を推進するなど、消費者の商品選びで変化が期待される。