9月末時点の1等比率としては、過去5年平均を4・1ポイント上回る。1等比率が前年を上回ったのは23道府県。年産総量の約4割に当たる181万9100トンまで検査が進んだ。前回の8月末時点では収穫本格化前だった北海道、東北、北陸の検査結果が今回は反映され、全国の1等比率が上昇した。
昨年、等級が低下した主産県では大きく回復した。新潟は84%で前年同期から70・5ポイント増、山形県は95%で同40・3ポイント上回った。秋田県も92%で同29・4ポイント増、北陸も8割以上となった。一方、茨城県は56・5%で前年並みとなるなど、地域差も出た。
同省は1等比率が回復した理由に、高温と渇水が重なった昨年に比べると天候条件に恵まれたことと、高温の影響緩和に向け産地での対策が進んだことを挙げる。昨年の等級低下を踏まえて産地では、高温によって稲の消耗が進まないよう、田を冷やす水管理や、追肥の強化などの対応が取られた。
暑さの影響が出にくい高温耐性品種では、新潟「新之助」が99・4%、秋田「サキホコレ」が99%、山形「つや姫」が98・3%、富山「富富富」が98・3%などと、100%近い水準を確保した品種も目立つ。
23年産は猛暑により、でんぷん蓄積が進まずに白く濁る白未熟粒が多発し、1等米比率が過去最低の60・9%(24年3月末時点)に低下。品質低下で精米歩留まりが下がり、流通量が減った経緯がある。今年は回復傾向にあるものの、高温の影響が出ている産地もあり、さらに収穫が進む10月以降の結果も注視する必要がある。
(玉井理美)

玄米の形や色、水分量などを検査し、格付けしたもの。主食用に向く水稲うるち玄米では、上から1等、2等、3等、規格外に分けられる。精米にする際の歩留まりの目安となるもので、等級の格下げは必ずしも食味に関連しない。一方、生産者には等級に応じて、概算金が支払われる。
格付けは、国の農産物検査法に基づき全国統一基準で行われる。水稲うるち玄米では、1等米は、着色や濁りがない整粒の割合が70%以上で、充実していない粉質状の死米が7%以下、着色粒0・1%以下などの基準を満たす必要がある。整粒割合の基準は、2等米は60%以上、3等米は45%以上となる。
水稲は高温になると、もみにでんぷんが十分に蓄積されず空白ができ、白く濁って見える白未熟粒が増えるなどの影響を受ける。こうした影響が広がると、整粒の割合が下がり等級低下につながる。 格付けは、農水省の登録を受けたJAなど民間の検査機関が担う。