アンケートは17日までの7日間、LINEで「農家の特報班」の友だち登録者に呼びかけた。無作為抽出の世論調査とは異なり、本紙読者の多様な意見を聞くため調査した。農畜産物の生産者、農業指導に当たるJA役職員や公務員ら、北海道から鹿児島まで42都道府県の127人が回答した。
生産・出荷量が「大きく減った」は29%、「やや減った」は36%で、「減った」とする回答は合わせて65%。等階級や格付け、糖度や着色などの品質も「大きく下がった」が32%、「やや下がった」が34%で、合わせると66%に上った。
新潟県の60代男性水稲農家は「米価が上がったが、収量減で収益は上がらなかった」と打ち明ける。兵庫県の70代男性水稲農家は「未熟米やカメムシ被害による等級落ち」を収量減の原因に挙げる。
大玉トマトで裂果などがあった熊本県の50代男性野菜農家は「どんなに高値でも量が出なければ収入につながらない」、ブドウの黒系品種が着色不良になった群馬県の50代男性果樹農家は「近年も傾向はあったが、出荷できず減収となったのは今夏が初」と話す。
宮崎県の50代女性畜産農家は「暑さで牛の発情が来ず種付けできなかった。熱中症にかかった子牛もいた」と話す。牛肉消費の減退を背景に「赤字寸前。これ以上、牛の治療費などの経費は出せない」と訴える。
今回の調査結果について、気象が農業に与える影響に詳しい九州大学大学院の広田知良教授は「2023、24年と2年連続で気温が一段と上がった影響と見て取れる」と指摘。今夏のような猛暑・高温は今後も続く可能性が高いとして、「高温が作物や家畜の生育へ悪影響を与えるリスクがあることを前提に、対策を講じる必要がある」と話す。
(柘植昌行)