有機の給食4割増 過去最多278市区町村に 環境重視の流れ加速
有機農産物を給食に活用する自治体の増加は、26年度から小学校給食を無償化する政府の法整備や仕組み作りにも影響しそうだ。
調査は20年度から毎年実施。全国約1740市区町村のうち、同年度123、21年度137だったのが、みどりの食料システム法が施行された22年度は193と飛躍的に増え、23年度は300に迫る勢いを見せた。このうちの大半を、有機農業を地域全体で進める「オーガニックビレッジ」が占め、同ビレッジに取り組む131市町村の9割が給食に有機食品を導入していた。
品目別の市区町村数では、有機米使用が21年度(41)から3倍超の127、有機野菜は同(99)の2倍近い189に急伸。有機農産物の提供回数は年5回以下が最多の120(45%)、年6~20回47(18%)、年21~50回38(14%)と続き、年101回以上も34(13%)あった。
同省農業環境対策課によると、有機農産物を給食用に出荷した場合、ほとんどが市場と比べて高値で安定しており、生産者が安心して有機農業に転換、面積を広げる動機になっている。また、農薬や化学肥料の使用量を制限する特別栽培米を使う自治体も増え、環境に負荷をかけない農法の定着が進んでいる。
一方、昨年来の米不足に伴う値上がりで、慣行栽培米の価格が有機栽培米や特別栽培米の給食用価格と同等か上回る“逆転現象”も発生。有機移行にブレーキがかかっている。 石破茂首相は今国会の参院予算委員会で、給食無償化への取り組みを問われ、地産地消と有機農産物を「導入すべき」との考えを示している。
(糸井里未、栗田慎一)