この4月から東京の小さな短大で、食の学科を立ち上げることになった。なぜ今、教育か? それは、現在ではなくミライの消費を探るため。食の業界を目指す18歳の若者が何を考えて、何を欲しているかを識(し)ることこそ、ミライにつながると思うから。
そして一番識りたいことこそが「いかにしてみどりを売るか」。僕が追いかけてきたエシカル消費やサステナビリティーといったキーワードが付いた食品は、どうやっても安くはできない。一般品より高い倫理的な食品をどうやってミライの消費者に買ってもらえるかを考えているのだ。
そんな僕が受け持つ講義の一つが「エシカルフード概論」。1年生向けに、倫理的な食の在り方を教えるものだ。初回の講義には入学生の8割くらいがドッと参加するが、僕はビシバシ当てまくって発言させ、レポートもたくさん出すぞと脅してふるいにかける。それでも2割くらいの学生が残り、過酷な課題もこなして授業に食らい付いてくる。
写真は都内の畑で農作業をするファーム実習。三鷹市の冨澤ファームにお邪魔して農作業をし、収穫物で商品を企画・開発する大人気の講義だ。彼ら彼女らを見ていると、「みどりをなんとかして売る」ではなくて、むしろ「みどりだから売れていく」時代がやってくるのではないかと思うのだ。
