[農村の桜2025]織りなす濃淡で一服
「桜を眺めると、心が和むと同時に、お茶の繁忙期の始まりに気が引き締まる」。主に煎茶を生産する丸与金本園の金本与志之さん(59)は言う。桜の開花は、新芽の出方の指標だ。
茶専業で、同町の6ヘクタールで栽培。一番茶を収穫する4月下旬と5月が、経営を左右する肝心な時。収穫した茶葉は当日中に加工する。
山に囲まれた同町は、急斜面まで手入れの行き届いた茶畑が広がる。昼夜の寒暖差が大きく、霧や気流、日陰が発生する環境が、味が濃く、香りの良いお茶を生む。
14ヘクタールで碾茶(てんちゃ)を生産する渡邊製茶工場の渡邊光章さん(60)も、桜を見て「(新茶シーズンが)これから始まる」と気合いを入れる。
(鴻田寛之)