口蹄疫発生15年 宮崎、水際侵入阻止へ 防疫の手緩めず
2010年の口蹄疫では牛6万9454頭、豚22万7949頭などが殺処分された。生産者は「まだ、昨日のことのように覚えている」(和牛繁殖農家)という苦い経験だ。
県は再発防止へ、特に韓国からの侵入に警戒を強める。同国では25年3月、1年10か月ぶりに口蹄疫が発生。4月14日までに牛と、牛よりウイルス排せつ量が多い豚で計19件を確認している。これまで同県で発生した2000年、10年の口蹄疫では、いずれも韓国で先に発生していた。
コロナ禍以降、インバウンド(訪日外国人)が回復して人流が増える中、空港や港湾での水際対策の重要度が増す。4月中旬、生産者代表らと河野俊嗣知事が現地を視察した。
韓国との定期航空便がある宮崎空港では、国内でも類を見ない厳重な防疫体制を敷く。ターミナルビル1階の全出入り口と国内線を含む全搭乗通路に、消毒マットを設置。国際線では乗客のゴルフシューズの消毒も行う。
宮崎と神戸を結び、牛の生体輸送も行う宮崎カーフェリーは、乗降口に消毒マットを設置して防疫体制を強める。JAみやざき繁殖牛部会長会議の十河啓二会長は「口蹄疫やランピースキン病といった見えない病気を絶対に入れないよう、一緒に防疫を徹底したい」と話す。
口蹄疫以外の家畜疾病のリスクも高まる。今月11日には、県内で始めて野生イノシシでの豚熱を確認。九州では昨年、牛のランピースキン病も発生した。
みやざき養豚生産者協議会の長友浩人会長は「伝染病を県内、国内に侵入させないのが私たちの信念だ」として、広く理解と協力を呼びかける。
(小林千哲)