[みどりGX]もみ殻でバイオ炭 高効率製造へ実証 JAぎふ、ヤンマーエネルギーシステムなど
実証試験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」で、食料・農林水産業分野での二酸化炭素の排出削減などを目指す技術開発の一環。技術開発に取り組むコンソーシアムは、同社と、ぐるなび、片倉コープアグリ、JA全農、農研機構でつくる。環境に配慮した取り組みとして農産物の付加価値向上も狙う。実験機は、この事業の第1号機。
原料にはCEから出るもみ殻を使う。実証を通じて、24時間稼働で1時間当たり100キロのもみ殻から30キロのバイオ炭を製造する、効率の高い技術の確立を目指す。1トン当たり製造コストは3万円の目標を掲げる。実証期間は2031年3月末までの6年間。
JAぎふは、環境と調和した持続可能な農業の実現に向けて、有機農業の生産・経営モデルの確立を目指している。バイオ炭による環境配慮や付加価値向上の取り組みは、目指す方向が一致していることから連携する。
バイオ炭を使う栽培試験は、同JAはじめ全国50地区以上で実施。試験対象は約15品目で、水稲では2割の収量向上を目標とする。
同日、関係者がテープカットを行い、実験機を報道陣に公開した。ヤンマーエネルギーシステムの山下宏治社長は「もみ殻処理の課題に対応し、循環型農業の実現にも貢献できる。脱炭素に向けた技術確立に向けて精いっぱい努力していく」と強調。JAの岩佐哲司組合長は「地域の農業を守るため、消費者が望む農産物の生産に力を入れている。バイオ炭を活用した農業も、その取り組みの一つ」と述べ、バイオ炭の普及に意欲を示した。
(小室駿)
<ことば>バイオ炭 もみ殻や木などバイオマス(生物由来資源)を原料にした炭の総称。植物が光合成で吸収・蓄積した二酸化炭素(CO2)を土壌に閉じ込めるため、温室効果ガスの排出削減につながる。