イネカメムシ今年も多発か 越冬調査、昨年の40倍超も 関東など厳冬期短く
埼玉県病害虫防除所では1、2月にかけて、果樹カメムシ類の越冬調査で混入していたイネカメムシの個体数を数えた。その結果、イネカメムシ成虫の密度は前年が1平方メートル当たり0・4匹で、今年は17・1匹と約43倍だった。また、イネカメムシに絞った越冬調査で見つかった個体の多くは生存していたという。
同防除所は、「越冬開けの発生初期から多発が見込まれる」として、早めに薬剤を準備することや、6月下旬以降に水田内外を注意深く観察することを呼びかけている。
今冬は本格的に寒くなる時期が遅かった上、気温の低い日も長くは続かなかった。総じて厳寒期が短く、イネカメムシに限らず、果樹も含めたカメムシ類全般が越冬に成功する条件が整っている。
イネカメムシを巡っては、昨年も全国的に多発した。昨年出された「斑点米カメムシ類」の注意報は39件で過去10年で最多。このうち13件でイネカメムシに言及し、注意を呼びかけた。
(南徳絵)
[ことば]イネカメムシ 斑点米カメムシ類の一種。成虫は茶褐色で体長1センチ程度と大型。成虫で越冬する。穂を吸汁して斑点米や不稔を引き起こし、品質低下や収穫量減少を招く。近年発生が拡大傾向にある。