私たちが慣れ親しんでいる食肉は、多くの技能者たちの技術によって提供されます。食肉のとっておきの情報を全国食肉学校の小原和仁校長に解説してもらいます。
お肉屋さんで牛肉を買うときに、皆さんは何を見ますか?値段や産地などは大事なポイントだと思いますが、一番目につきやすいものといえば、やはりお肉の色ではないでしょうか。鮮やかな赤色のお肉は、見るからにおいしそうですよね。逆に少しあせた色のお肉は敬遠されがちです。
お肉の色素は、ミオグロビンというタンパク質です。切ったばかりのお肉の切り口は暗赤色ですが、30分~1時間後には鮮やかな赤色になります。
このことを花が咲くようだという意味で「ブルーミング」といいます。空気中の酸素と肉色素であるミオグロビンが結びついて、オキシミオグロビンになったためです。しかし、そのお肉も数日経過すると、退色して灰褐色になってしまいます。

皆さんが買いたくなる鮮やかな赤色のお肉は、切ってからあまり時間がたっていない証拠で、おいしく食べられることが期待できます。でも、値引きシールの貼られた少し退色したお肉も、香辛料を上手に使ってその日のうちに料理すれば、十分おいしくいただくことができます。その日の献立や、お財布の中身と相談して、より良い選択をしてください。
皆さんが鮮やかな赤色のお肉を買って家で料理しようとしたとき、お肉とお肉が重なった部分が黒ずんで見えたことはありませんか?それは重なった部分が空気に触れていなかったからで、鮮度が悪いわけではないのです。その証拠に、空気に触れると間もなく「ブルーミング」で花が咲くのでご心配なく。
