日本では当たり前の薄切り肉、これは世界的に見て珍しいものです。そもそも冷蔵のままお肉を薄く切るスライサーは日本独自のもので、東アジアの一部などを除いて他の国にはありません。「和食:日本人の伝統的な食文化」は2013年12月にユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、2~3ミリの厚さのすき焼き用、1~2ミリのしゃぶしゃぶ用などに加工する技能がそれを支えています。
「今日の夕ご飯は何にしようかな」と考えながら買い物をするのは時に楽しいものですね。そんなときお肉屋さんの冷蔵ショーケースで、花のように美しいスライス肉を眺め、その向こうに日本のお肉屋さんの技能があることを思い描いてみてください。「今日は少し肌寒いから、このお肉をこうやって料理したら体が温まりますよ」。店主からそのようなアドバイスをいただけるかもしれません。
