実家の焼肉屋を継ぐと決意するまでは、カメラで有名な会社でサラリーマンを10年ほどしており、入社3年目でインド駐在をすることになりました。
ご存じの方も多いかと思いますが、インドの人口の約80%を占めるヒンズー教の方々は牛を神聖な生き物として扱っており、食べることは基本的にご法度とされています。インドの方々ももちろん海外の食文化に対する理解はあると思いますが、しっかり5年間隠し通しました(笑)。
これは一例ですが、海外に行くと全く日本と違う価値観に出合うことができ、その刺激にハマり、気付けば40カ国近くを旅しました。ケニアで訪問したマサイ族の村では、たくさんの牛を飼っていました。マサイ族にとって牛は食べ物というより資産的な意味合いが強く、多くの牛を持っている人がモテるみたいです。結婚の際に新郎が新婦の家族に牛をプレゼントする習慣があるくらいで、牛を持っていないと結婚もできないのだとか。
そうやって見ると、YAKINIKUというのは一つの日本の文化であることに気付きます。あのきれいな霜降り肉も海外ではなかなか見ることができません。これからまた、国内旅行だけでなく海外旅行も盛んになると思いますが、ぜひ観光名所だけでなく、その国や地域の文化にも興味を持ってほしいと思います。その際に、その国の牛に関わることにも興味を持ってもらえるとうれしいな。YAKINIKUの紹介も忘れずに! ボンボヤージュ!

食肉販売科第32期卒業
焼肉味好(滋賀県甲賀市)・新井貴大)