
ビーフィーターのラベルに描かれているのはロンドン塔の衛兵隊で、正式には「ヨーマン・ウォーダーズ」という。その通称がビーフィーターだ。このお酒の公式サイトによると「国王主催のパーティーのあと、残った牛肉の持ち帰りを許された」のが語源とされているが、これには諸説あってはっきりしない。かつて彼らの給金の一部に、庶民には手に入らない牛肉が含まれていたという説もある。給料が牛肉…生なのか干していたのか塩漬けにでもしてたのか、肉屋としては傷まないか気になるところだ。ともあれ、17世紀には彼らを「牛食い」と呼んでいた記録があるので、なんとも歴史のあるあだ名である。
ジンは杜松(ねず)の実(ジュニパーベリー)を中心に多様な香草類で香り付けするが、最近は日本各地で個性的なクラフトジンが作られている。中にはお茶やユズ、シソなど地元産のフレーバーを加えたものも。ブランド牛に、同じ地元のクラフトジンを合わせる…なんてのもアリかも。

公益社団法人全国食肉学校総合養成科第49期卒業
(有)岸商店・店長
五十嵐達雄