それだけでなく、と畜場で働く一人一人が細心の注意を払って衛生的な作業を行っています。牛を例にとると、胃や腸などの消化管の中には食中毒の原因となる細菌が住んでいます。また、体表にはたとえ洗った後でもふん便による汚染が残っています。それらの細菌からお肉を守るため、「細菌をお肉につけない作業」が徹底されています。
消化管からの細菌汚染を防ぐために、食道結紮(けっさつ)、肛門結紮が行われ、胃腸内容物が外に漏れ出さないようにしています。体表からの汚染を防ぐために、各工程の作業場所に83℃の熱湯殺菌槽があります。皮などの体表に触れた手やナイフは汚染されます。その手をお湯と洗剤で洗い、そのナイフはまずお湯で汚れを洗い流した後、83℃の熱湯殺菌槽で殺菌します。そうすることにより、直後の作業工程で枝肉が細菌汚染されることを防いでいるのです。このことを1頭ごと、いや1刀ごとに地道に繰り返し、お肉の安全を確保しているのです。
公益社団法人全国食肉学校 総合養成科第23期卒業
専務理事学校長
小原和仁