さてこのゴボウ、漢字だと「牛蒡」と書く。そう「牛」の字が入っているのだ。ゴボウは元々薬草として中国から伝来した野菜で、「牛蒡」という字も中国由来。牛とゴボウはどんな関係があるのか…と調べると、どうもこの牛は「牛のように大きい」という意味なんだとか。元々中国にあった「蒡」という草がゴボウに似ていて、これより大きいことから「牛」の字を冠して「牛蒡」となったいう。なるほど「牛」の漢字にはそんな使い方もあるのね。
牛の字が入っている縁か、ゴボウと牛肉はとても相性がいい。ささがきにしたゴボウと牛肉を甘辛く炊き上げた「しぐれ煮」は定番の味。このとき使う牛肉は、ちょっと脂っぽい切り落としがいい。ゴボウのクセの強さを牛脂のコクが包みこみ、お互いの持ち味を引き出してくれる。ショウガの千切りを多めに加えると、ご飯のおかずに酒の肴に最高だ。
ゴボウは寒さが増してくるこれからが旬。牛肉料理だけでなく、熱々の豚汁やモツ煮に入れるのも乙なもの。いろいろな組み合わせで楽しみたいものです。

公益社団法人全国食肉学校総合養成科第49期卒業
(有)岸商店(精肉店・東京都品川区)店長
五十嵐達雄