肉肉学会の4月のテーマは「上の山放牧場の挑戦」。ゲストは秋田県にかほ市の繁殖農家・渡邊強さん(26歳)。渡邊さんは高校卒業後、他の肉用牛農家で研修を積んで家に戻り、繁殖経営を引き継ぎました。
その際、地元の農家が共同で利用していた「上の山放牧場」が農家の離農で荒れ果てていたことから、再利用を決意。牛舎から6km離れた放牧場へ牛を歩かせて移動し、たった一人の放牧利用を始めたのです。このままでは森に還ってしまう放牧場を改めて放牧利用することで、農業基盤としての放牧地を活かし、「100年続く畜産」を目指すためでした。
そして、この放牧地で育った「放牧経産牛」の牛肉を地元のレストランやオンラインで提供する取組も始めました。特に、鳥海山の麓に位置する放牧場の素晴らしい景観を活かした「上の山放牧場BBQ」は、非日常的な食体験として評判で、私と肉おじさんも昨年秋に参加して放牧経産牛を堪能しました。
そんな「若武者」を応援する場となった肉肉学会。この日提供されたのは「すすき」という名の14歳の経産牛で、安福久×勝忠平×美津福という名牛の血統。和牛の旨味に溢れ、もりもり食べることのできるお肉でした。
景観を活かして100年続く畜産を目指す若い繁殖農家。誰もが共感するストーリーが和牛の応援団を増やすことにも繋がります。
元農水省畜産部長
原田英男