硬い肉は薄く切れば軟らかく食べられますが、厚く切ると硬くて噛み切りにくいです。もちろん焼き過ぎればどんな肉も硬くなります。すじが多い肉は焼いただけでは硬いですが、長時間煮込めばとろとろに軟らかくなります。当コラム97でも述べた「保水力の低い肉」は、生肉の状態では軟らかいですが、調理をすると水分が失われてジューシーさがなくなり硬くなってしまします。
さて、牛の「かた」肉は一般に硬い方の部位と思われていますが、筋肉ごとに分けていくと違いがあります。「みすじ」は霜降りで軟らかく、「とうがらし」は赤身で硬いのは理解できます。ところが、「こさんかく」は霜降りですが硬く、「うわみすじ」は赤身ですが軟らかいです。肉の軟らかさはある程度見た目でわかりますが、見た目ではわからない場合もあるということです。
ではどうしたら硬さ軟らかさがわかるかというと、一番良くわかるのは言うまでもなく食べてみることです。本校の学生は全ての部位、全ての筋肉を食べるので、どの部位の、どの筋肉の、どの部分が硬いか軟らかいかを良く理解しています。そしてその部分をどう切ってどう調理したら特長を最大限引き出し、おいしくいただくことができるかがわかるのです。
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁