一方、と畜工程は一部機械で行われる部分があるものの、多くの工程は手作業に委ねられているのが現状です。例えば剝皮工程は機械でできますが、そこに持っていくまでの剝皮前処理工程は細やかな人の手で衛生的に行われなければなりません。腹出し(内臓を取り出す)工程などは胃腸に傷をつけないように細心の注意を払って行われるので、簡単には機械に置き換えられそうにありません。このことは日本でもアメリカでも同様です。
さて、我が国の食肉センターはどこも人手不足が深刻で、そのことが処理頭数の制約条件になっている場合さえあります。牛はいるけど、と畜ができないから牛肉が食べられない、という事態にならないようにするためにはどうしたら良いのか、知恵を絞る必要があります。働き手をいかに確保するかということが喫緊の課題ですが、その他に何かできることがないか、次週のコラムで考えてみたいと思います。
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁