[論説]JA全国女性大会 仲間と一歩踏み出そう
大会のスローガンは「『あい』からはじまる『元気な地域』をみんなの力で」。地域の多様な組織と連携し、食と農を次世代につなぐことや、食農教育を通じて「国消国産」の輪を広げようと呼びかける。2025年度からの3カ年計画も決める。
JAの女性組織は、地域のつながりを創出し、発展に貢献してきた。例えばコロナ禍で対面の交流が制限された時も、自宅でペットボトルのキャップを集めて開発途上国の子どものワクチンを購入したり、オンラインの活用で仲間とのつながりを維持したりと、知恵と工夫で乗り切ってきた。今回の全国大会をフレッシュミズなど、幅広い世代との仲間づくりにつなげる契機としたい。
第30回JA全国大会決議で掲げた「協同活動と総合事業の好循環」には、組合員・地域住民との接点強化、対話の深化が欠かせない。JA合併や広域化が進む中、組合員とJAのつながりを一層強くするため、地域に根差す活動を続ける女性組織の知恵や経験が生きる時だ。
男性優位社会の中、女性の存在感が高まれば、JA運営に新しい風が吹き、好影響をもたらす。だが、女性参画は道半ばだ。全国大会の決議で、女性比率を①正組合員30%以上②総代15%以上③役員(理事、経営管理委員、監事)15%以上――とする目標を掲げた。JA全中の調査(24年7月末)によると、女性の正組合員は23・8%、総代11・5%、役員11・2%にとどまる。中でも女性の役員が1人もいないJAは70以上あり、参画状況に差が出ている。地域の多様な意見をくみ上げる組織でなければ、農業・農村、JAの未来は開けない。
若手職員の早期離職を防ぐ上でも、女性参画は重要となる。女性活躍推進法が成立して10年。今後、企業・組織の女性管理職の登用状況や、男女の賃金差の可視化は一層進む見通しだ。JAもこの流れに遅れず、誰もが働きやすい職場環境を整備し、女性の管理職や役員を増やすことが、持続可能な組織につながる。
子ども食堂やフードバンクへの貢献、災害時の炊き出し、高齢者支援、防災意識の啓発など、JA女性組織の活動はますます重要となる。まずは若い世代が気軽に参加しやすい環境をつくるところから始め、組織運営の活性化につなげたい。