現在は当時と比較にならない量の牛肉が輸出されています。この先はどうなるのかというと、あくまで私見で若干論理性には欠けますが、まだまだ行けるのではないかと考えています。なぜなら、今年度9回本校で開催された一般社団法人日本畜産物輸出促進協会主催の「輸出先国向け国産食肉(和牛)精肉加工・調理技術セミナー」での参加者の熱気が当時を彷彿とさせるからです。
海外で和牛を取り扱っている一流レストラン、精肉店、食肉卸などの経営者やシェフらが、本校講師の和牛カッティング技術を見るそのまなざしは真剣そのものです。また、プロの料理人でもある本校講師が、参加者のために趣向を凝らして調理した和牛創作料理を、皆でバクバク食べて、講師が質問攻めにあうなど、その盛り上がり様は大変なものがあります。
とはいえ、その引き合いを実際の輸出に繋げるためには大きな課題があります。
一つは欧米を中心に需要がロイン系に偏っていること。二つ目は「もも」「かた」等のいわゆるセカンダリーカットを輸出する際には、小割すじ引き等の日本式食肉処理技術が不可欠であることです。この技術を日本人・外国人問わず指導することが、今後の牛肉輸出の大きなカギであり、本校の役割はますます重要になってくると考えています。
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁