[論説]最強寒波の到来 「除雪しない」選択肢も
強い冬型の気圧配置の影響で気象庁などは、6日にかけて北海道、東北、北陸、東海で警報級の大雪や暴風雪となる可能性が高いとして注意を呼びかけた。暮らしに直結する公共交通機関の大幅な遅延や道路の通行止めだけでなく、果樹の枝折れ、ネギの葉折れなどの農作物被害、ハウスなどの施設倒壊につながる恐れもある。
普段は、雪があまり降らない地域ほど警戒が必要だ。北海道帯広市や芽室町、本別町では12時間降雪量が1メートル以上となり、統計が残る中で全国の記録を超えた。一気に雪が積もったことになる。
また、四国や九州地方では多い所で30センチの積雪を見込むが、かんきつの出荷時期と重なるだけに、農家は安全第一の作業を心がけ、不要不急の外出を控えよう。
雪国でも油断禁物だ。東北では今冬、雪下ろし中の事故が頻発し、「異常事態」となっている。年始にかけて記録的積雪に見舞われた青森県では、雪による事故で、1カ月に9人(4日現在)が亡くなり、昨冬の死者数を上回った。山形県では雪下ろしによる死傷者は38人(同)と、前年同期の約3倍となった。両県とも高齢者の事故が目立っている。
山形県では「高齢者は屋根に雪が積もると下ろしたくなる傾向がある」と分析。昔は家の周辺に雪があったため、転落しても助かったケースもあったが「今は地面がむき出しになっている場合が多く、雪下ろしは常に危険が伴う」(防災危機管理課)と指摘する。同県では1月上旬から2月中旬にかけて「雪害事故防止強化月間」とし、安全な雪下ろし作業を普及する。具体的には、屋根にアンカーを設置し命綱を付けて安全を確保した上で、天候の回復を待ってからの作業を勧める。
命を守るためには「除雪をしない」のも選択肢だ。長岡技術科学大学の上村靖司教授は、現在の建築基準で建てた家屋は「雪が1メートル積もっても、つぶれることはまずない」と指摘する。一方、懸念されるのが農機具などが入った小屋やカーポートなどで、雪の重みで倒壊する恐れがある。それでも、上村教授は「命が大事。壊れても仕方ないという割り切りが必要」という。
肉体的負担も大きい。雪下ろし作業は心身を緊張させ、脳や心臓に負担をかける。まずは身の安全を確保しよう。