23年前の平成13年次、5等級は12.3%、4等級は29.2%、4等級以上が41.5%だったので、格付率の向上は目を見張るばかりです。これは家畜改良の推進や肉質向上に向けた生産者の努力の結果であることは言うまでもありません。
その一方で、一部の消費者からは脂肪交雑が多すぎると量が食べられないなどの声がでているのも事実です。農林水産省の2024年10月23日の食料・農業・農村政策審議会畜産部会(令和6年度第6回) 配付資料3「肉用牛・食肉政策の現状と課題の整理」によると、BMS No.の高い牛が高値で取引される傾向にある一方、BMS No.4~6(3等級から4等級の一部)の価格優位性が上昇傾向にあり、今後は食味に関連した脂肪酸組成や小ザシなどの脂肪交雑以外の要因にも注目する必要があると書かれています。
例えば、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が脂肪酸に占める割合が高いほど、脂肪の融点が低下し舌触りが良くなり多汁性が増すとともに、和牛香の成分の一つであるラクトンなどの甘い香りとなります。また、同じBMS No.であっても、粗ザシでは粗脂肪割合が50%を超えるものもありますが、小ザシであれば脂肪含有量を抑えられると言われています。
これからは赤身から霜降りまでの様々な消費者ニーズに対応できるような生産・流通を考えていきたいと思います。
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁