ずいぶん前の話ですが、私が製造したベーコンを短冊状に切って含気包装のうえ冷凍したものが、1か月もしないうちに強烈な脂肪の酸化臭を放ったことがありました。対策として窒素ガスを注入するようにしたところ、それは改善することができましたが、脂肪の酸化臭の凄さを思い知らされました。
これは生肉についても同様です。お肉を使いきれなくて、2~3日中に調理する予定がない場合は冷凍保存する必要があります。一般的には「ラップで包んでフリーザーバッグに入れてできるだけ空気を抜く」よう推奨されていますが、その際「ポリ塩化ビニリデン製ラップ」を使うと良いです。と言われても「…?」という方へ、スーパーなどで少し高めに販売されている有名なラップの表示を見ると、原材料名「ポリ塩化ビニリデン」となっているのですぐわかります。
ちなみに値段がその半分以下のラップの原材料名は「ポリエチレン」となっています。両者がどう違うかというと、ポリ塩化ビニリデンはポリエチレンに比べて「酸素バリア性」(酸素ガス透過度)が200分の1以下だそうです。これを使えば脂肪の酸化を一定程度抑えることができます。
ポリ塩化ビニリデンのラップを使用して上記のやり方で冷凍保存し、なるべく1か月以内に冷蔵庫で自然解凍して調理すれば、買った時と同じように美味しくいただくことができるでしょう。
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁