お肉にはいろいろな部位があって、夏と冬では料理用途が違うため、売りやすい部位と売りにくい部位が出てきます。また、育てた時の生体コストとお肉になってからのマーケット環境が激変して、利益を出せないこともよくあります。
頑張っても売れない時は、冷蔵のお肉の賞味期限が来る前に凍らせて冷凍保管することもありますが、そうすれば余計な凍結コストをかけたうえで、冷蔵のときよりも安い相場が適用されてしまいます。日に日にうず高く積まれていく在庫を見ているうち、夜たまにその在庫が崩れてくる夢を見ることもあり、いくらでもいいから売ってしまおうという魔が差さないとも限りません。
さて、本校の学生はいつもお肉に触っていて、そのおもしろさや奥深さを知っています。自分の技術と知識そして創意工夫で、どのような時でもいかようにでもお肉に付加価値をつけられる自負があります(その実力が本当にあるかどうかはさておき)。
卒業間近にはオーストラリアの食肉研修旅行をとおして、牛がと畜される現場を間近に見てきます。そして、その牛たちからいただいた命で作った牛肉を、1グラムたりとも無駄にしてはいけないと誓います。お客様に対してより良い提案をして、1円でも良い評価で買っていただく心構えができているのではないかと、私は日ごろから感じています。
公益社団法人全国食肉学校
専務理事学校長
小原和仁