大井川が南北に流れる同町は、新芽を守る川霧が出やすい地形。柔らかな新芽を伝統的な蒸し方で仕上げた「川根茶」は、全国区の品評会でも高い評価を得ている。
町の2・5ヘクタールで「やぶきた」と「さえみどり」を栽培する高木郷美さん(65)は、朝収穫した生葉を蒸し、機械でもんで乾燥させる製茶作業に大忙しだ。蒸す工程は30~40秒の「浅蒸し」で、香りとだしのようなうま味、ほのかな渋味が両立した逸品に仕上げる。
「どの工程でもタイミングを5分誤るだけで質が狂うから、生葉から荒茶になるまでの7時間は片時も目が離せない」と高木さんは気を引き締めていた。
同町や藤枝市、焼津市、島田市など4市町を管内に持つ地元のJA大井川は、鉄道会社などと連携して2020年に茶の魅力を発信するテーマパーク「KADODE OOIGAWA(カドデ・オオイガワ)」を島田市に開業。既に100万人が訪れた。参加者が茶葉に扮(ふん)して製茶の工程を体感できるツアーや、珍しい煎茶のソフトクリームなどが味わえる。(木村泰之)
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