[あんぐる]炎夏からり白すだれ かんぴょう作り本番(栃木県)
県南部の下野市は県内生産量の約6割を作る産地。同市の60アールでユウガオを栽培する、北野道世さん(60)は、連日午前5時から、収穫したユウガオの加工作業に追われている。
ウリ科のユウガオの実は1玉7、8キロの大きさ。薄く削り乾燥させたものが、のり巻きの具などでおなじみのかんぴょうになる。
実は専用の機械に棒で刺して固定し、ぺダルで回転させながら刃を当てて幅4センチ、厚さ約2ミリの薄い帯状に削り取る。1玉にかかる時間はおよそ1分で、長さ4メートルほどに切り出された実が4、5本取れる。これを、ハウス内の干し場で1、2日かけて乾燥して仕上げる。1玉から取れるかんぴょうは約200グラム(乾燥後)。収穫と加工は実が取れる8月末まで続くという。
北野さんは「梅雨明けが早く今年の収量は平年の半分ほどだが、良いものができた。栃木のかんぴょうは味染みと歯応えが良い」と薦める。
県内でのかんぴょう生産は、壬生城主だった鳥居忠照が1712年、旧領地の滋賀からユウガオの種を持ち込み栽培したのが始まりとされる。1980年には6500戸が作っていたが、高齢化や輸入品の増加で減少。現在は、農家215戸が年間187トンを生産している。北野さんは「子どもの頃には、集落の軒先はかんぴょうの白いカーテンで埋まっていたが、今では珍しくなってしまった」と懐かしんだ。(木村泰之)
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