

2年前から島唯一の小学校となった、全校児童69人の伊平屋小学校の給食にも、そんな「島の努力」を見ることができた。
学校給食週間の1月第4週、全国の小中学校で創意工夫の献立が作られ、沖縄県は「タイムスリップ給食」を今年のテーマにした。県内各校がアイデアを競う中、伊平屋小は明治から現代まで時代ごとのメニューを再現することにした。
【1日目=明治・大正】麦ごはん、みそ汁、切り干し大根炒めなど【2日目=昭和初期】コッペパン、脱脂粉乳入りスープ、マグロフライなど【3日目=昭和中期】スパゲティミートソース、野菜のレモンあえなど【4日目=昭和後期】ポークカレー、ひじきサラダなど――が出された。
そして、最終日の【5日目=現代】は、アーサ(島わかめ)ごはん、パパイア炒め、サクナ(長命草)入り魚の天ぷら、黒糖プリンと、島で自給できる食材が使われた。
考案した栄養士の伊禮夏未さん(37)は「時代ごとの食べ物や背景、考え方を反映した」と語った。現代に島料理を持ってきたのは「伊平屋にどんな食材があり、どんな人が関わって食べることができているかを学んでもらい、郷土料理の味を知ってもらう」ため。
かつて日本一の長寿県を誇った沖縄は、食の本土化が進む中で家庭から琉球料理が減り、肥満や生活習慣病が増えた。長寿を支えた郷土料理は今、給食に出すことで子どもたちが知ることができる現実もあるという。
児童は5日間、150年にわたる給食の歴史を学び、おいしく調理された各時代の料理に舌鼓を打った。4年の末吉優大さん(10)は「どの時代も良かった。また食べたい」。