埼玉県加須市の「むさしの村」は、全国的にも珍しい農業体験を年中楽しめる遊園地だ。県内15JAが出資するJAグループ関連会社が運営する。ファミリー層に長年愛され、2024年1月に55周年を迎えた。4月下旬の日曜日、むさしの村を訪ねた。

約2000人が入園したこの日、当日予約制で30分間のイチゴ狩りを午前と午後の2回、小松菜、ホウレンソウ、チンゲンサイ、水菜の収穫体験を午後に開催。10歳以下の児童と保護者を中心に200人が参加した。
「根元をつかんで、手前に倒してごらん」。スタッフの古山皓登さん(23)がジェスチャーで教える。同県川口市の小学1年、山田紬義さん(6)は父の義哉さん(42)とホウレンソウを収穫。「去年のタマネギより楽だね」と言い、笑った。
一家がむさしの村で遊ぶのは3回目。ジェットコースターなどに乗った後、畑に向かうのが定番だ。義哉さんは「一日中遊べるし、食育もできる。畑もアトラクションだと思っています」と語った。

アトラクションのほとんどは保護者同伴で0歳から乗れるため、全世代が楽しめる。むさしの村によると、親世代で口コミが広がり、リピート率も高い。
広さ2ヘクタールのわくわくファームは30品目以上を栽培する。夏はピーマンやナス、秋はサツマイモ--と「どの時期でも収穫できる」ように運営する。古山さんが言った。「農業の楽しさを知った子どもたちが将来、畑に帰ってくるのを願っています」
開園時間は午前9時半~午後4時。24年のゴールデンウイーク(GW)は2日を除き、午前9時から開園する。入園料は2歳まで無料、3歳~小学生と65歳以上650円、中学生以上1200円。農業体験の品目や料金は、むさしの村公式ウェブサイトの「収穫体験のお知らせ」を参照。