猛烈な風、サトウキビ倒伏恐れ 鹿児島・奄美地方が暴風域
島面積の25%を占める1455ヘクタールでサトウキビを作付けする喜界島は27日朝、風速25メートル以上の暴風域に入り、午後7時台に最大風速33メートル、最大瞬間風速44・2メートルを観測。町が公開しているライブカメラには、街路樹や熱帯植物の森が大きく揺れ、レンズが雨に激しくたたかれる様子が映っていた。
気象庁は、同島を含む奄美地方で28日に最大風速40メートルの猛烈な風が吹くと予想している。
町農業振興課の喜島正樹さん(52)によると、島内のサトウキビは8月ごろから植え付けが始まったばかりで、高さは30~40センチほどに成長している。
島の農地のほとんどはサトウキビ栽培で、大規模化の区画整理を終えている。喜島さんは「1人当たりの作付面積が大きくなっているため、防風ネットの設置は現実的でない。台風が来たら基本的には何もできない」と語り、「塩害も心配だ」と付け加えた。
島が暴風域に入ったため、同課は27日、庁舎に一部の職員がいる以外、自宅待機となった。自宅にいた喜島さんは「風が強く、外に出ると体がもっていかれる。台風だと本土からの船が出ないので、物資も届かなくなる。食料品店も閉店している」と話し、長期にわたって船が欠航して島全体で食料が枯渇した過去の台風を振り返った。
10号は九州に上陸後、四国、近畿、東海、関東甲信へ進む見通しで、西、東日本の太平洋側では線状降水帯が発生する可能性もある。気象庁は27日、九州で28~30日、四国で29~30日、中国で30日に警報級の大雨、暴風となる可能性が高いと発表。「台風の速度が遅いため総雨量が多くなる」と注意を促した。