東京・表参道で全農
筋骨隆々なマッチョから、スキムミルク(脱脂粉乳)をふんだんに使ったパンをもらえるイベントが29日、東京・表参道で始まる。低脂肪かつ高タンパクなスキムミルクの特徴を生かし、腹筋や大胸筋など筋肉の形をしたパンに仕上げた。JA全農が主催。スキムミルクの認知度向上と家庭での消費拡大を狙う。12月1日まで展開する。
金曜日で29日となる「筋肉(金、29)の日」に合わせたイベントで、今年3月の1日限定開催が好評だったため3日間に拡大した。
ブランドショップが並ぶ通りに、マッチョな店員が筋肉の形をしたパンを配る「マッスル・ベーカリー」が登場。スキムミルクを使用したパンやドリンクなど全8商品を楽しめる。
パンは、割れた腹筋“シックスパック”を模した「シックス・ブレッド」(スキムミルク含有量25・5グラム、タンパク質8・7グラム)や、丈夫な骨になるようにカルシウムたっぷりのウインナー入り「ホネブート」(同10グラム、3・4グラム)など全5種類。ドリンクはドリップしたコーヒーにスキムミルクをたっぷり混ぜた「ファイトオレ」(同30グラム、10・2グラム)や、抹茶をスキムミルクで割った新商品「マッチョオレ」(同42グラム、14・3グラム)など全3種類を用意した。パンとドリンクを一つずつ注文すると、マッチョ店員がパンの種類に合わせたマッスルポーズを披露してくれる。
マッチョ店員の小原明人さんは「スキムミルクはいろいろな料理に入れられるので、たくさん使ってほしい」と魅力を語る。
3日間で、正午~午後6時。来場者700~800人を見込む。
全農がこうしたイベントを開催するのは理由がある。冬場は飲用乳が不需要期となり、生乳は長期保存のためにバターと脱脂粉乳に加工される量が多くなるからだ。
バターの消費が堅調な一方、脱脂粉乳は乳製品などの需要の伸び悩みなどから、2024年度末の在庫量は前年度より4割増える見通しがある。酪農乳業業界は在庫削減対策事業に取り組み、飼料用など安価な輸入品と置き換え、在庫積み増しの回避を進める。
脱脂粉乳の用途は、ヨーグルト原料などが約50%。一方、家庭でコーヒーや調理に使うスキムミルク商品はわずかだ。全農は、脱脂粉乳をあえて「スキムミルク」と呼び、イメージアップで家庭消費を呼び込む考えだ。
酪農部は「スキムミルクは店頭に並ぶことも少なく、認知度が低い」と指摘する。クラムチャウダーやリゾットなどのレシピも紹介。「栄養成分を訴求し、牛乳と合わせて使ってほしい」とアピールする。
(廣田泉、写真と動画は山田凌)