原木不足などで取り引きしていた業者がおが粉製造から撤退したため、JAは2018年から新緩衝材の試験に着手。コロナ禍での「ウッドショック」でおが粉価格が高止まりしたことも影響し、今年3月から導入に踏み切った。
新緩衝材は55%がジャガイモでんぷんで、残りをポリプロピレンなどで構成。JA施設内の機械で製造し、半日で1日の出荷量分をまかなえる。新緩衝材を導入すると、1箱(10キロ)当たり97・5円だった経費を同55円まで圧縮。JAでは年間40万箱出荷するため、資材費のみで年間1300万円ほど経費を削減できる計算だ。
1箱の重量も、おが粉の14キロと比べて新緩衝材は10・7キロと少ない。おが粉を使った箱をJR貨物の5トンコンテナに積載すると、重量規定により空きスペースが生じていたが、新緩衝材での軽量化で空間を最大限活用できるようになった。
積載量を360箱から440箱まで増やせ、関東向けの運賃は1箱230円から188円に削減。トレーラー輸送は満載で行っていたため変わらないが、ナガイモ輸送全体の約40%を占めるJR貨物で輸送を効率化。JAは「年間約700万円経費を削減できる」(青果課)と試算する。

関東の市場でJA産のナガイモを扱う青果会社からは「軽くなったことでナガイモの分荷作業が楽になった」「重さが軽くなり、ゴミの処理料金が削減された」などの評価を受けた。おが粉よりも一つ一つが大きいため、スーパーなどでの掃除の手間もかからない。
JAはホクレンでん粉課と連携し、十勝管内の工場など4カ所から、副産物のでんぷんを安定的に仕入れる体制を構築した。「以前は工業用や家畜の餌用として使われていたが、それよりも高く買い取れる。イモ農家への還元も視野に入れる」(同課)と話す。
(関 竜之介)
