宮城県農業高校(名取市)の科学部は本年度、柴田町にある桜の名所「白石川堤一目千本桜」で、桜の高温耐性を高める「桜色活力剤」の実証試験を行う。紅葉の時期を待たずに落葉する桜に施用し、効果を検証する。日本さくら名所100選に選ばれている東北有数の観光資源を官学連携で守る計画だ。
同部は、東日本大震災の被災地などで桜を植樹する「桜プロジェクト」を展開。植樹した桜を守るため、二価鉄イオンの力で塩害や高温への耐性を高める活力剤を開発した。
本年度は、2016年に植えられた桜のうち、高温で弱っている八重紅枝垂(しだれ)桜6本で試す。500倍に希釈した活力剤を毎月1回8リットルずつ施す3本と、水やりだけ行う3本を比較する。
実証試験の初日、部員らが散水作業を行った。同部リーダーの山本柚花さん(17)は「校内での実験で効果を確認している。早期落葉を防げる見込みだ」と語る。田村昴大さん(17)も「活力剤を広めるため、商品化にもつなげたい」と話す。
一目千本桜は樹齢100年を超す古木も多い。毎年のように猛暑が続く中、その保全が課題だった。同校の桜色活力剤の活用を町に提案した白内恵美子町議は「町の観光資源である桜を守る有望な資材」と期待を寄せる。
実証試験は、数年間続けて効果を検証する予定。町都市建設課の佐藤康弘課長は「活力剤に効果があれば、一帯の一目千本桜に使用を広げたい」と話す。
同校科学部は1~3年生8人で構成。桜色活力剤を開発した取り組みや地域への貢献などが評価され、2024年度だけで科学や環境関連の大会で八つの賞を受賞した。
(齋藤花)