キウイフルーツの消費量は年々増加しており、大手スーパーのイオンでは、24年度(3月~25年2月)のキウイフルーツの売上額は、16年度比で1・5倍以上に広がった。3月から12月はニュージーランド産、12月から3月は国産などとリレーする形で並び、品質・価格が安定しているため売り場面積も確保しやすいという。イオンリテールによると、幅広い世代に支持され、最近では20、30代にも人気だ。

JA全農は1月、国産の出荷最盛期に合わせ、全国の直営飲食6店舗で「国産キウイフルーツフェア」を開催。品種「ヘイワード」の和歌山、愛媛、福岡産などを使ったパフェやスムージー、フルーツサンドなどを販売。メニュー提供数は昨年比41%増、来客数は同15%増と伸びた。「みずみずしく見た目もきれいでおいしい」と、30、40代の女性や子ども連れの家族などから好評だった。
キウイフルーツの栄養機能に詳しい駒沢女子大学の西山一朗教授は、需要拡大の背景に、消費者の健康志向があるとみる。抗酸化効果の高いビタミンCが豊富で、「グリーンキウイ1個を食べると、1日の推奨量の70%を補給できる」。動脈硬化などを防ぐビタミンEや腸内環境を整える食物繊維なども多く含む。ニュージーランドの販売会社・ゼスプリによる科学的根拠に基づく健康効果をうたった広報活動が、「国産も含むキウイフルーツ全体の印象を向上させた」と分析する。

国産は、生産量が減少傾向で、流通量に占める割合は約2割にとどまるが、取引単価は上昇傾向だ。日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は24年が1キロ当たり602円で、10年で約4割上昇。輸入の出回りが減る年末から春ごろに引き合いが強まり、糖度の高さや豊富な栄養価など品種ごとの特長が売りだ。
黄金色の果肉で甘味が強い大玉の「さぬきゴールド」など県独自品種の開発を行っている香川県では、新たに「さぬきエメラルド」を育成し、今年1月に県内で販売を始めた。糖度が高く良食味で、貯蔵性に優れ、ビタミンC、Eをそれぞれ一般的なキウイの約2倍含む。高松市内のスーパーで行った試食会では、消費者から「甘味と酸味のバランスが良い」と好評だった。県によると、3、4年後には樹の成長に伴い販売量、期間ともに伸びる見込み。
(冨士ひとみ)
(おわり)
