[農畜産物トレンド調査](1)野菜 サツマイモが連続首位
野菜の売れ筋動向について、卸売会社や仲卸業者など35社から回答を得た。
サツマイモが昨年に続く1位となり、票数も16と他に大きく差をつけた。品種は「べにはるか」が8票、「シルクスイート」が4票と、しっとり系に人気が集中した。焼き芋の販売が拡大し、新顔の「あまはづき」に夏の需要増を期待する声も出た。スイーツ需要も高く、減産傾向の「ベニアズマ」を望む意見も出た。
昨年、サツマイモと並び1位だったブロッコリーは7票を獲得。簡便さや健康志向を背景に需要を確立する。一方、「増産の勢いが早く、近く供給過剰になる」との指摘も。需給動向を見極めた生産、加工・業務用の需要拡大が鍵を握る。
同票のトマトは、中玉系の人気が高かった。ミニトマト(5票)を含め、高糖度系のニーズが根強く、機能性を売りに商品化する動きから健康面への注目も目立った。一方、大玉は供給過多傾向から価格低迷の懸念も出た。
加工・業務用 価格安定望まれる
米からの転作作物としても関心が高まる加工・業務用野菜について、国産シェア獲得に最も必要なことを聞いた。
最多は「安定価格に対する産地、実需者の理解」(得票率30%)。生産費が上昇する産地を考慮し、実需者に「再生産価格を意識して価格設定し、生産意欲維持につなげてほしい」と望む声が出た。持続的な取引へ、双方が納得する価格の居所を探ることが鍵を握る。
「需要に特化した品目・品種選定」も21%と多い。「作柄変動リスクを補う安定供給体制」(18%)として、全国規模の出荷リレーを望む声も目立った。「実需ニーズに応じた荷姿・商品化」では、国産の需給調整や食品ロス抑制の観点から、冷凍野菜への関心が上がった。
近年、「生鮮野菜の機能性表示」による販促に取り組む実需者や産地が出てきたことから、考え方を聞いた。「具体的な販売・提案の予定はない」「関心はない」が6割を占めた一方、「既に販売・取引先への提案を実施している」も16%おり、関心に差が出た。
関心を持つ会社は「他の食品でも広がり、重要性を感じる」「産地が積極的にPRする姿勢を持っている」などと回答。「(機能性の)科学的根拠を自社で証明できない」との声も複数あり、専門機関によるサポートのニーズがうかがえた。