[農畜産物トレンド調査](2)果実 シャインマスカット12年連続首位
ギフト需要へ「地域性」が鍵
卸売会社やスーパー、百貨店、果実専門店、生協、外食など52社から回答を得た。
22年に販売が伸びると注目される果実品種・ブランド(複数回答)は、今年も「シャインマスカット」が首位(19票)。18年には44都道府県に生産が広がり、「国内だけでなく海外ニーズも高い」と支持される。勢いがどこまで続くかを尋ねたところ、「長期的に継続」(10%)「当面継続」(69%)が計8割に上った。“ポストシャイン”を狙った「クイーンルージュ」「富士の輝」など新品種も多数出ているが、「まだ抜きんでるものはない」との意見もある。
2位は昨年に続き、愛媛産のブランドかんきつ「紅まどんな」で16票獲得。出回りが歳暮シーズンに適していることや、高糖度でゼリー状の食感が特長的などの理由が挙がった。20年の「紅まどんな」を含む愛媛果試第28号の生産量は10年前の6倍(4250トン)に急増している。
3位にはリンゴ「ぐんま名月」が躍進。蜜入りの黄リンゴで外皮の一部がほんのり赤い。食味や他品種と差別化しやすい点が評価された。栽培面積が急拡大し、定番品種に押し上がりそうだ。リンゴ「こみつ」(14位)や「冬恋」(17位)など蜜入りリンゴがヒットの気配。
イチゴは主力産地、栃木県の「とちあいか」(6位)や福岡県の「あまおう」(7位)など、県独自品種の競争が激化。佐賀県産「いちごさん」(17位)も存在感を示した。
県独自品種は、ギフト需要で求められる「地域性」をアピールできる商材として幅広い品目でランクインした。鳥取県の梨「新甘泉」、青森県のサクランボ「ジュノハート」、愛媛県のかんきつ「甘平」など、全体の3分の1に及んだ。
西洋梨「ル レクチエ」(10位)、「ラ・フランス」(11位)がそろって上位入り。柿も「太秋」「秋王」などがランクインし、国産果実の出回りが減る10月以降の売り場をつくれる商材が求められている。
国産果実販売は多角化が鍵となる。販売のキーワードの設問(複数回答)では、「手頃な価格帯の果実の生産拡大」が76%で最多となった。産地の高単価路線が今後も続く見方が多い中、消費者の節約志向や日常消費への対応も必要視された。続いて「スイーツ原料など実需ニーズに応じた生産」「高級果実の輸出」が24%で並んだ。
「コンビニを中心にスイーツ原料の需要は大きく伸長している」「海外には日本産高級果実のニーズがある」などの声が聞かれた。