[農畜産物トレンド調査](4)食肉 家庭消費喚起が鍵
注目集まるブランド品
全国の食肉卸やスーパー、百貨店などの38人から回答を得た。
取り扱う国産食肉で22年に特に重視するポイントを尋ねた項目(複数回答)では、「銘柄(ブランド)」が13票を集めトップに立った。20年まで3年連続で首位を守っていたが、昨年は「値頃感」にその座を譲っていた。
「内食需要の高まりによるプチぜいたく志向」(食肉卸)など、新型コロナウイルス下での消費シーンの変化を捉えた回答が目立った。
「ブランド食肉は生産背景を明確に伝えることができるため、消費者に安心感を与え、購買拡大につながる」(大手食肉メーカー)との声もあり、銘柄の根拠やストーリー性の見える化が訴求力アップにつながりそうだ。
「地域性(地産地消)」(8票)も昨年の12位から4位に急浮上しており、地域と結び付いた銘柄の提案に注目が集まる。
新設した「味付け肉やレンジ調理品など簡便調理品の品ぞろえ」(9票)や「ネット販売の強化」(8票)なども上位に入り、22年も内食ニーズの取り込みを重視する傾向が続く。「単身や共働きがさらに増え、マーケットが拡大する」(百貨店)など、簡便調理品の市場は定着が見込まれる。
さまざまな食品の値上げが予定される中、「消費者は価格にシビアになる」(食品スーパー)など、値頃感を重視する傾向も根強い。一方、飼料価格などの生産コストも上昇しており、食肉を使った製品やメニューへの価格転嫁の動きにも注視が必要だ。
消費シーンごとの各畜種の動向では、国産は牛、豚、鶏のいずれも、家庭での消費は「横ばい」、外食での消費は「増える」とする回答が多かった。
外食機会の増加を踏まえた回答が多かったものの、「輸入品の減少で外食産業が国産を使うようになってきている」(食肉卸)など、不安定な輸入品の代替需要を予想する声もあった。
相場動向の予測では、和牛、国産豚肉はそれぞれ50、65%が21年比「横ばい」と回答した。国産鶏肉は「上がる」が最多の40%となった。各畜種ともに、飼料価格の高騰による相場への影響を指摘する意見が目立った。