直売所のファン ふるさと納税返礼品で獲得
野菜詰め合わせ好評 送料は市負担「地域の特徴感じて」 群馬・JA佐波伊勢崎「からか~ぜ」
群馬県伊勢崎市にある、JA佐波伊勢崎の農産物直売所「からか~ぜ」は、野菜の詰め合わせを同市のふるさと納税の返礼品にしている。2021年に注文が急増。12月は約60件を発送し、前年同月の4倍近くになった。小保方史江店長は「ふるさと納税サイトで市の返礼品の人気ランキング上位に入って注文が増え、リピーターもついた」と話す。
詰め合わせは3000円相当で、1万円以上の寄付で返礼品として選べる。小保方店長が週初めに品質が良く、量を確保できる出荷者に注文し、金曜日に集めて発送する。送り先は京浜地域から西日本にも広がった。
伊勢崎市への21年度のふるさと納税寄付額は4~12月だけで1億6000万円を超え、20年度実績の4倍に達した。同市は「農産物の返礼品は、市出身者にはなじみ深く、ゆかりのない人にも地域の特徴を感じてもらえる」(企画調整課)とみる。送料は市の負担で、寄付者がネット通販に比べてお得感を感じている面もあるという。
農畜産物の定期便浸透 長崎「おおむら夢ファーム シュシュ」
長崎県大村市の農産物販売複合施設「おおむら夢ファーム シュシュ」は、返礼品で定期便を始めた先駆けだ。2015年度から企画し、10万円以上の寄付で年間10回、イチゴやプリン、豚肉など毎月違う農畜産物を送るコースが人気だ。定期便は、単品を含む同店の返礼品発送全体の8割を占める。21年の定期便発送件数は約1万5000件で、前年より2割増えた。
ふるさと納税の申し込みは年末に集中する。定期便は作物の旬に合わせて計画的に生産でき、発送の労力分散の利点もある。運営会社シュシュの山口成美代表は「毎月送ることで寄付者との接点が増え、大村市に愛着を持ってもらえる」と狙いを話す。親しみが増すように、田植えの様子など風景や農家の暮らしぶりが分かる手書き文の便りを入れる工夫を続け、返礼品の縁で店を訪れた人もいる。
大村市への20年度のふるさと納税寄付額は2億6145万円で、21年度は前年度を上回る水準で推移。市の返礼品約400件の中でも農畜産物の人気は高い。21年1~12月は、申し込み数ベースで上位10件のうち6件をシュシュの定期便など農畜産物が占めた。
自動販売機で商品券 発送の手間と送料負担軽減 山梨県小菅村
山梨県小菅村は21年6月、ふるさと納税ができる自動販売機を、村内の道の駅こすげに設置した。返礼品の商品券で物産館の野菜や農産加工品を買える。地域を訪れて魅力を感じた人がすぐに寄付できて、返礼品を発送する手間と送料負担を減らせるメリットがある。
斎藤卓也駅長は「通年出荷ができない野菜でも返礼品になり、農家の励みになる」と話す。同村によると21年のふるさと納税寄付額の約1割に当たる約130万円が、自動販売機からの寄付だった。
栃木県那須町も21年12月に道の駅那須高原友愛の森に同じ自動販売機を置き、1カ月で35万円の寄付があった。
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