
新品種の開発や育成を手掛け、ブランド化けん引の中心的役割を担うのが、部会長の渡辺誠一さん(58)だ。渡辺さんは、在来品種の収穫は7月から8月いっぱいと短いことから、長期出荷を目指して9月以降も市場投入できる品種の開発に力を注いできた。
現在、晩生種の主力「サンルージュ」「サンセプト」をはじめ、極晩生種の「愛李(ラブリー)」「笑李(スマイリー)」など約10品種のリレー販売で、10月中旬まで出荷が続く。在来種と組み合わせ、約4カ月の長期出荷を可能にしている。
渡辺さんは、新たな栽培者の確保にも力を注ぐ。果樹農家仲間に声をかけ、新規就農者を受け入れる組織「OSINの会(大江町就農研修生受入協議会)」を13年に立ち上げた。受け入れ農家が就農希望者の相談に乗り、移住後の生活に関する不安などを取り除き、円滑な就農につなげている。設立以降、県内外から訪れた新規就農者22人が独立就農している。会は町やJAからも支援を受け、産地の拡大を目指す。
JAと部会は24年度の主な取り組みとして、新規栽培希望者への生産技術指導のフォロー体制の充実を図る。また各種補助金を活用して、在来種からオリジナル新品種への改植、新植を進める。大手広告代理店と連携したブランディングを進める他、6次産業化や地元企業と連携した地場消費にも力を注ぐ。
主産地の大江町では国・県の補助事業を活用した園地の団地化を進めており、現在4ヘクタールを整備中だ。新規就農者の受け皿となり、生産体制の強化と生産量拡大につながると関係者は期待を寄せる。
渡辺さんは「日本一のスモモ産地づくりに向けまい進していきたい」と意欲を示す。