
肉が嫌いだったというわけではないんですが、カレーの場合は大きな肉が入っているのよりも、野菜カレーの方がおいしいと感じるんです。これは今でもそうですね。
なんでだろうと、合宿に行くたびに思いました。ラグビー選手は太らないといけないからでしょうかね。
僕は小さい頃から食べるのが遅いし、そんなに量を食べられなかったんです。ですからサッカーの指導者から「とにかく量をたくさん食べろ」と言われたのは、けっこうつらかったですね。よく居残って食べさせられていました。皆が帰った後でも、残さずに全部食べなきゃだめだったので。ゆっくりと時間をかけて、一人で最後まで食べました。
でも残さずにきちんと食べるというのは、とても大切なことだと思います。その意味では、小さい頃からちゃんと食べるように指導されたことはよかったと感じています。
大学時代に、お金をためて友達と2人で1カ月間ほど欧州旅行をしたんです。フランスのモンサンミッシェルで食べたオムレツのおいしさは、今でも忘れられません。そのように素晴らしい料理と出合ったこともありましたが、学生の貧乏旅行ですから、食べるものにかけるお金が無かったんです。お金がなさ過ぎでした。その時のことをいつも思い出すんです。食べ物を粗末にすることは決して普通じゃない、と。ありがたくいただくべきだと思っています。
幸い僕は好き嫌いがありません。そのためどんな食材でも料理でも、おいしくいただけます。反対にものすごく好きなものがないのが、ちょっと残念な感じもするんですけど。
ただしモンサンミッシェルのオムレツのように、国内でも地方で出合って何度でも食べたいと感じる料理はあります。広島に仕事で行った時に食べた、コウネという牛の肩バラ肉はおいしいですよ。歯応えがあり脂身もうまい。焼き肉屋だけでなくお好み焼き屋にもあります。広島以外の地域では、肩バラ肉は他の部位と一緒に切り分けられるそうですけど、広島ではこの部位だけを単体で出すのだそうです。ですから広島でしか食べられない味なんですね。行くたびに食べます。
旅先では、そこでしか食べられない名物を食べるのがいいですね。
お酒も家でたまに飲みます。日本酒と焼き魚や煮物の組み合わせがいい。前は肉中心だったんですが、だんだん変わってきました。野菜だけは変わらず食べていますけど。
すずき・しおん 1997年、東京都生まれ。2019年、「FINEBOYS」専属モデルオーディショングランプリと太田プロ賞を受賞しデビュー。映画「ヘタな二人の恋の話」、ドラマ「ビッ友×戦士 キラメキパワーズ」「もしも、イケメンだけの高校があったら」などに出演。谷崎潤一郎作品を大胆にアレンジした主演映画「卍リバース」公開中。特技はサッカーで高校時代に神奈川県大会準決勝に進出。