特に好きだったのが、台南担仔麺(タイナンターミー)。うちの店の定番メニューで、だしが利いた透明のスープに、日本のラーメンとはちょっと違った麺。もやしもたっぷりのっていました。台湾の素朴な味つけで、大学に入るため上京するまで、週に何度も食べた味です。僕にとっては、小さい頃の記憶に残るソウルフードといっていいと思います。
おふくろの味として思い出に残っているのは、二つあります。
まずは、毎週金曜に必ず食べたカレー。金曜の夜は店が一番忙しく、母は夕飯は簡単に作れるものをと、カレーにしたんです。その習慣で、今でも僕は金曜はカレーを食べます。外食でもそうですし、自分で作る時もあります。ルーは、母が使っていたのと同じものを使います。いろいろ試したんですが、結局、子どもの頃の味に戻りました。
もう一つはキャベツと豚肉の料理。コンソメでじっくりと煮て、最後に卵を入れたものです。これも今、自分で作りますし、たまに実家に帰ると必ずリクエストします。

寮では1部屋に、1年生から4年生まで各学年1人ずつ、計4人が一緒に住んでいます。ふだんはバラバラに食事をするんですが、鍋の日だけは、部屋単位で食べるんです。1年生は早めに食堂に行って準備をして、先輩を呼びに行きます。隣の部屋と合同で、8人で鍋を食べることもありました。
食材は食堂で提供されるんです。でかいトレーに載った肉をトングで取るんですけど、先輩に「肉、いっぱい持って来い」と言われるんで、取り合いになりましたね。
僕は大学時代にセブンズ(7人制ラグビー)の日本選抜に選ばれ、合宿で栄養士さんから「日本人は米で大きくなる」と教えられました。少しずつでもいいから米を何度も食べる、ちょっとでもおなかがすいたら食べるようにと指導されたんです。
明治大学の寮でも、ご飯はたくさん炊かれていました。夕ご飯を食べても、夜になるとおなかがすく。すると食堂に行って、ご飯をよそって食べていました。おかずはないんですが、ふりかけは常備されていました。それと、おかず代わりに食べたいものを自分で買ってきて、寝る前にご飯を食べたものです。
大学入学時に80キロくらいだった体重は、卒業時に90キロくらいになりました。僕の体づくりには、ご飯が欠かせなかったと思います。
ドラマ「サンクチュアリ-聖域-」では、力士の役でした。この時は体重を115キロまで上げました。撮影前の1年間をかけて25キロ増やし、半年間ほどの撮影期間はその体の維持に努めました。
その時に支えてくれたのが、やっぱり米です。米は脂が少ないので、健康的に太れるんです。脂質の多い食材や糖質の多いお菓子なども太れますが、そういうのを食べると胃が疲れます。なんといってもご飯と餅。あとはうどんを食べ、体調を崩さずに太ることができました。
撮影後に体重を落としましたが、胃袋が大きくなったようです。お酒を飲み過ぎると満腹中枢がまひして、いくらでも食べてしまうんですね。その点は気を付けています。
(聞き手・菊地武顕)