すごく夜遅い時間まで練習したんですけど、レッスン場に母が車で迎えに来てくれて。その車の中で母が作ってくれたお弁当を食べながら、家に帰ったんです。あの頃はあまりありがたく思うこともないままに過ごしましたが、今思い返せば本当にありがたいことで感謝しています。
カロリーが低くて栄養が豊富なものが大事だと、ご飯は少なめにして、フルーツを詰めてもらったりしていました。本当はバランスよく食べないといけないんですが、今ほど正しい知識はなく、とにかく食べる量を減らすとか、サラダばかり食べるのがよいといった時代でした。
中学、高校の成長期は食事制限がつらくて。友達がハンバーガーを食べに行ってるのに、なんで我慢しなきゃいけないんだと。そんな生活ですから、コンクールの後のご褒美は、焼き肉。お肉とご飯の大盛りを頼んで、おなかいっぱいになるまで、吐きそうになるまで食べました(笑)。
海外での思い出として浮かぶのは、コンクールに出るためにブルガリアに行った時。3週間のブルガリア滞在を終えて、観光でパリに3日ほど寄ったんです。フランスで食べたフランスパンが、あまりにもおいしくて衝撃的でした。ハムや野菜をはさんだバケットサンドを一口食べたら、もう鳥肌立つぐらい。フランスパンというだけあると思いました。
他にもラザニアやシチューなど何を食べてもすごくおいしかった。カロリーが高そうだなと思いながら、全部完食してしまいましたね。そのため帰りの飛行機の中で胃腸炎になって苦しい時間を過ごしました。
京都の大学に入ってからはバレエのレッスンはやめ、お芝居を始めました。1人暮らしでしたし、あまりにも解放された感じが強くて、友達とファストフードを食べたり、甘い物を食べまくったり。人生ってこんなに楽しかったんだと感じました。8キロぐらい太ったと思います。顔もパンパンになりました。
私にとって一番のおふくろの味は、お雑煮。アゴだしで、ブリと鶏肉が両方入っている博多雑煮です。
ニンジンなどの野菜一つ一つを個別で味付けして、最後に一緒に盛るというすごく手間がかかっている雑煮です。食材の切り方も丁寧なので、見た目もきれいなんですよ。
毎年、お代わりして食べちゃうんですよね。雑煮を何杯も食べると言ったら友達に不思議がられましたけど、母の雑煮は1杯じゃ絶対に終われないぐらいおいしくて。3杯ぐらいは食べますね。
年末年始に帰省した時には、雑煮作りを手伝います。でもやるたびに、私一人じゃ絶対できないなって思わされますね。
私自身が好きで最近作っているのは、ギョーザです。結構おいしく作れていると思います。お肉は焼いた時にすごくジューシーになるように、キンキンに冷やして混ぜます。野菜はハクサイ。片栗粉と一緒に混ぜると、ハクサイの水分をいい感じに吸ってくれて、焼くとちょうどジワッと出てくるんですよ。紹興酒やシソを入れてみるなど、味付けは毎回のように変えてみます。
私がギョーザ好きだと知った沙莉ちゃん(「虎に翼」で共演した伊藤沙莉さん)が、家にキャストを招いてギョーザパーティーをしてくれたこともあります。具は、沙莉ちゃんがネットとかで調べて事前に用意してくれて、それをみんなが思い思いに包んだんです。私は焼き担当もしました。何種類かあったんですけど、全部おいしくて。あのドラマのキャストは本当に仲良しで、家族みたいな感じの現場だったと思います。
(聞き手・菊地武顕)