[論説]インフルエンザ急増 免疫力高め感染防ごう
厚生労働省は全国約5000の定点医療機関の患者報告数を基に、1週間で1機関当たりのインフル感染が1人を超えると「流行」入りと判断する。例年は1月から3月が流行期となるが、今季は昨年12月末から続く流行が止まず、10月に突入した。
2023~24年シーズン開始となる9月第1週(4~10日)は平均4・48人だったが、第4週は9・57人となった(前年同期は0・01人)。
都道府県別では現在、「注意報」レベルの10人を超えているのは、25・93人の沖縄をはじめ14都県に上る。39都道府県が前週の報告数を上回り、全国的に感染拡大の恐れがある。入院患者は10歳未満の子供や70歳以上の高齢者が目立つ。
感染した場合は、「タミフル」などの特効薬もあるが、新型コロナに感染する感染者の高止まりも続いており、このままでは外来診療がパンクしかねない。新型コロナのワクチンとの同時接種もできるので、重症化リスクのある高齢者や基礎疾患がある人は早めに接種しよう。
インフル感染が増えている背景にあるのは、新型コロナの感染法上の位置付けが「5類」に移行したことで、市民の予防意識が薄れてきていることがある。今夏は猛暑が続いたこともあるが、電車やバス、人の集まる場所などで、マスクを着けずに会話する人が増えている。近年はコロナの感染者が増えた一方、インフルの感染者が少なかったため、免疫力の低下につながった。
まずは、各自で対策を徹底し、インフルとコロナの感染を防ぐという意識を高めることが重要だ。いま一度、感染防止の基本対策となる①手洗いと手指の消毒②うがい③換気④人の集まる場所でのマスクの着用――を再徹底しよう。
併せて、免疫力を高めるために十分な休息と、ヨーグルトや乳酸菌飲料の摂取を心掛けたい。茶産地では、風邪やインフルエンザの予防にカテキンを含む緑茶を飲んだり、うがいに活用したりしている。梅干しも予防効果が期待できる。ビタミン豊富なミカンなども意識して食べよう。食で感染を防ぐことを心掛けたい。
日常生活の中でできる感染防止策を徹底し、免疫力を高めてインフルとコロナの時季を乗り切ろう。