同制度は、地域特有の農林水産物や食品の名称を知的財産として守る制度。ブランド価値の維持へ同省は、名称の不正使用の取り締まりなどの結果を毎年公表している。
23年度は、輸出していたり有名で模倣されやすかったりする29のGI産品を対象に、世界の主要な179のECサイトを調査。不正が疑われる事例が1242件あった。
これらに対し同省がサイトからの削除を申請したところ、今年2月末までに611件が削除された。削除に応じず掲載されたままのものも多い。
同様の調査で、22年度は1135件、21年度は1029件、20年度は1378件の不正を確認。過去には「市田柿」や「八女伝統本玉露」「宮崎牛」「万願寺甘とう」などをかたった事例も見つかっている。模倣の横行が続く現状に、同省知的財産課は「模倣品は輸出の妨げにもなる。厳正に対処していくとともに、産地にも権利を守る意識を高めてもらうことが重要だ」と指摘する。
対策を後押ししようと同省は、産地が専門家から個別に助言を受けられる事業を用意する。海外で流通する偽物に関する情報提供、対策の相談を受け付ける現地の窓口の設置も進めている。
23年度は、国内でも不正表示が7件あった。他産地の牛肉やシシトウなどにGIの名称を付けていた。全件でGI表示を消すなどの改善が済んでいる。
GI産品には現在、145産品が登録されている。