緊急調査の質問と回答は【表①】で、「価格抑制策」や「米価値上がりの影響」については自由記述とした。

学給会は1954年制定の学校給食法に基づいて設置され、全国の児童に同水準の食事を提供する役割を担った。しかし、高度成長期に自主流通米が制度化され、95年に食糧管理法が廃止されると、給食の地産地消を進める自治体は学給会から離れていった。
ところが本紙調査では、学給会を通じて購入する自治体は現在も68%あり、うち49%が地元で取れた米を地元の子どもたちが食べる「地場産」供給を実現していた。仕入れ先の95%を占めるJA全農などJAグループが近年、地場産化の要請に応えているためだ。
学給会から離れていた自治体が供給を要請する「回帰現象」も起きていた。多くが供給自治体分の確保で精いっぱいだったが、学給会の役割を再確認する出来事となった。
一方、価格では、同法が給食費の保護者負担を原則としていることから、抑制に向けた調整がぎりぎりまで続けられた。ただ、市価との「公平性」から限界もあり、自治体への売渡価格は都道府県間で1キロ707~400円と300円以上差が開く=【表②】=学給史上前例のない事態となった。

また、JAに米を出荷する農家が減ったことから11の学給会が新米期の秋までの供給量を確保できず、政府備蓄米の放出に頼った。JAグループの役割の大きさも示した「令和の米騒動」である。
▽配布=1月下旬、電子メール▽対象=47都道府県の学校給食会▽回答期限=当初2月13日。米不足に伴う交渉などの長期化で3月25日に延長▽回答率=91%(43学給会)
取材後記
全国の小中学生のうち、完全給食実施校で学ぶのは96%に当たる886万人。本紙給食百景取材班の試算で1日824トンの米が必要になる。週4回の米飯ならば年間で24年度全国主食米作付面積の1・8%分、週3回だと1・3%分だ。
「これだけ?」と思うが、秋の新米期までの需要量を賄えない地域が続出した。子どもの発育と教育に不可欠な「1日3食のうちの1食」くらい、安心供給できる仕組みが作れないものか。
(文・写真=栗田慎一、レイアウト=木村裕子)
