
周知の通り、山と海は切っても切り離せない関係の中で、今、農業と漁業が互いに力を合わせて、この気候変動下の現代の苦況を乗り越えていくためには何が必要なのだろうか。魚が主体に思われがちな「すし」ではありますが、そもそも酢飯がなければ始まりません。酢飯に使用されるお米や酢、砂糖などはもちろんのこと、しょうゆもわさびも、ガリもお茶も農家さんあっての原料です。日本から世界に広がったSUSHIは、各国で柔軟に自由に発展し、ベジずし、肉ずしのシェアは年々増え続けています。すしにおける農作物の重要性とその可能性について、いま一度、改めて考えるべき時。そのきっかけを生み出せるようなメッセージをこの連載で表現していきたいと思います。
そして自分には、海藻料理研究家としての顔もあります。昨今、世界からも大きく注目を浴びている海藻について、農と海藻にまつわる課題と希望なども提唱させていただこうと考えています。すし職人として、海藻料理研究家として、生きものが食べものになるまでを突き詰める中で見えてきたもの、経験してきたことを自分の言葉でここで皆さまに共有させていただけましたら幸いです。1年間、どうぞよろしくお願いいたします。