米価が高止まりしているとして「消費者の米離れが危惧される」と指摘。政府備蓄米の放出に触れた上で「手に取りやすい価格で消費者に渡るよう、さらなるスピード感と危機感を持ち取り組んでいく」と表明した。
世界的に農業生産が増えているとして、米の生産抑制に改めて疑問を呈した。合わせて「所得をどのようにして増やすかということを考えていかなければならない」とも指摘。「米産業がいかにあるべきか」について、野党各党とも議論を深める姿勢を示した。
自民党の森山裕幹事長も出席。政府・与党が農業構造転換集中対策期間と位置付ける今後5年間で、既存予算とは別に「大幅に予算を確保することが必要だ」と強調した。
米国の関税措置を受けた日米交渉を巡り、森山氏は「農林水産品を犠牲にすることにより国益を損なうことがあってはならない」と指摘。環太平洋連携協定(TPP)交渉で米などを重要品目に位置付けたことに触れ、「この精神を忘れてはいけない」と述べた。
米価にも言及。7日にJA全農を訪問したと明かした。備蓄米の流通などを巡って「いかに努力していただいているか、よく理解できた」と述べた。
(松本大輔)
日本農業新聞全国大会であいさつした石破茂首相の発言は次の通り。
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スマート技術の導入、農地の集積集約と大区画化、品種改良等による生産性の抜本的向上とともに、徹底的な高付加価値化、世界市場に向けた輸出の促進を図っていく。
米については消費者の方々に納得いただけるような生産性向上の努力が産地において不断に重ねられ、そうした生産性向上に前向きに取り組む方々の再生産を可能とし、安定供給につながるものとなることが重要だ。
生産意欲のある農家が生産性向上に取り組むことは後押しし、付加価値の向上、輸出の拡大、これらを促進することにより米の生産がもうかる産業となるよう、政策を進める。
米の価格の高止まり、都市部では手に入りにくいという状況が続き、消費者の米離れが危惧(きぐ)される。備蓄米はこれまで3回の売り渡しを行い、全農をはじめ流通業者に安定供給に懸命に取り組んでいただけることを感謝申し上げる。
引き続き可能な限り早く手に取りやすい価格で消費者の皆さんの手に渡るよう、さらなるスピード感と危機感を持ち取り組む。
今後人口減少下においても農業食料産業の生産基盤を強化をし、将来にわたって国民の食を確保していくに当たり、JAグループに果たしていただく役割は非常に大きい。今後ともよろしくお願いしたい。