①頸椎一つ一つとしっかり繋がり、繊維の際立った加熱しても形状が変わらないすじ。(肩ロース黄すじ)
②見た目厚みはあるが、うっすらと透きとおり煮込まずとも噛みきれるゼラチン質に富んだすじ。(サガリなかすじ、せんぼんすじ)
③②と同じ見た目であるが②と比較すると食感が悪く硬めなすじ。(チーク、スネ内部)
④筋肉の回りを取り囲む(または同一筋肉の中に入りこんだ)厚みのない一般的なすじ。(加熱で可食できるがゼラチン質はあまりない)
①②③は特殊な例として、④にフォーカスしたい。和牛の方が交雑種に比べすじ自体が薄い傾向にあることは確かだが、それを差し引いても食感に大きな差がある。和牛と交雑種で同一部位、同一すじ(「しんしん」の「ともさんかく」側のなかすじ付きカツレツ、厚み2センチ)を検食、比較したことがある。どちらもしっかりしたなかすじを目視確認することができたが、検食して驚いた。肉自体の軟らかさは別として、和牛のなかすじは全く口に残らずストレスを感じなかった。普段各部位の肉質ばかりに目がいってしまいがちだが、さすが「肉専用種」だと改めて感じる出来事だった。違う角度から見てみるとまだまだ面白い和牛の魅力が眠っているかもしれない。

教務部専任講師 佐俣宏紀)