ウシもシカも偶蹄(ぐうてい)目の反芻(はんすう)動物で、よく似た体の構造をしています。ではこれら2種の動物の明確な違いは何でしょうか? 体の大きさ? 模様?
その答えは「ツノ」です。ウシの仲間はツノが枝分かれしませんが、シカの仲間は枝分かれします。また、ウシのツノは生え変わりませんが、シカのツノは季節で生え変わるといった特徴もあります。アフリカに生息するインパラのように「シカっぽい」見た目のウシの仲間もいれば、北アメリカのヘラジカのように「ウシのように」巨大なシカもいます。シフ“ゾウ”なんて名前のシカの仲間もいます。ヒツジやヤギもウシの仲間です。
さて「シカもカモシカもシカだが、しかしアシカは確かシカではない」という早口言葉がありますが、これは間違いです。カモシカのツノを観察してみると枝分かれしていませんので、彼らはウシの仲間であると言えます。なので正しくは「シカはシカだが、カモシカもアシカも確かにシカではない」となるはずです。早口言葉にツッコミを入れるのもどうかと思いますが。ちなみにニホンカモシカは国の特別天然記念物に指定されており、捕獲して食べてしまうと法律で厳しく罰せられますのでご注意下さい。言わずもがな、アシカはウシともシカとも全く別の動物ですので、悪しからず。

教務部専任講師 澤村竜樹)